若い世代とともに持続可能な未来へ SDGsが育む企業と社会

【対談】T&Dホールディングス 取締役専務執行役員 森山昌彦氏、HI合同会社 代表 平原依文氏

事業収益の追求と社会課題解決の両立を目指すソーシャルビジネスは、今や企業にとって欠かせないビジネスモデルといえる。
生命保険事業をコアビジネスとするT&Dホールディングス取締役専務執行役員・森山昌彦氏と、SDGsを活用した教育に取り組むHI合同会社代表・平原依文氏が対談。
企業の成長に必要なSDGsの視点や、未来を担う若い世代への期待を語った。

保険から社会課題の解決へ

平原 SDGsは国や企業の枠組みを超え、地球に住むすべての人が一丸となって達成すべき目標だと考えます。SDGsへの取組姿勢において、T&D保険グループと私たちHIには通じる点があるのではないかと感じています。まずは、T&D保険グループの成り立ちやビジョンについて教えてください。

森山 私たちは家庭市場の太陽生命、中小企業市場の大同生命、そして乗合代理店市場のT&Dフィナンシャル生命の3社を中核とする生命保険グループです。グループの持ち株会社として、2004年にT&Dホールディングスを設立しました。「Try & Discover(挑戦と発見)による価値の創造を通じて、人と社会に貢献するグループになる」という企業理念のもと、コアビジネスである生命保険業などを通じて社会課題の解決を目指しています。

対談中の森山氏の写真

T&Dホールディングス 取締役専務執行役員 森山 昌彦

1989年大同生命入社。企画部長、執行役員、取締役常務執行役員などを経て、2022年4月T&Dホールディングス専務執行役員、同年6月より現職。

平原 これからの企業には自社の利益と社会貢献の両立が求められるでしょう。その点、T&D保険グループの理念には非常に共感できます。とくに社会課題の解決、SDGsへの取り組みはすでに多くの企業や自治体が始めており、HIでも支援を行っていますが、T&D保険グループではSDGsへの貢献をどうお考えですか?

森山 企業は人材やお金を社会から預かり、人々が求める商品やサービスを提供する存在です。言い換えれば、社会をはじめとするすべてのステークホルダーへの貢献抜きに、企業としての存続は難しい。だからこそ、私たちはグループ長期ビジョン「Try & Discover 2025~すべてのステークホルダーのしあわせのために~」において、経済的価値と社会的価値の双方を創出する「共有価値の創造」を経営戦略の中心に掲げ、企業活動に関わるすべてのお客さまや株主、従業員一人ひとりのしあわせにつながる経営を志しています。

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HI合同会社 代表 平原 依文

HI合同会社 代表、青年版ダボス会議 One Young World日本代表。小学2年生から単身で中国などに留学。2022年にHI合同会社設立。持続可能な社会のあり方やビジネスモデルを追求する。Forbes JAPAN 2021年度「今年の顔 100人」に選出。

平原 T&D保険グループの活動はまさに「誰一人取り残さない」という、SDGsの原則に沿っている印象ですね。

森山 ありがとうございます。そもそも、保険はたくさんの人が少しずつお金を出し合って万が一に備える「相互扶助」の仕組みで成り立っており、SDGsの考え方そのものといえます。さらに、現在はもっと踏み込んだかたちでの本業を通じた社会貢献を目指して、グループ成長戦略の1つに「SDGs経営と価値創造」を掲げ、SDGsの17の目標のうち重点的に取り組む4つの「サステナビリティ重点テーマ」(①すべての人の健康で豊かな暮らしの実現 ②すべての人が活躍できる働く場づくり ③気候変動の緩和と適応への貢献 ④投資を通じた持続可能な社会への貢献)を選定し、事業と密接に連関しながら取り組んでいます。

SDGsと自社の成長、両軸で

平原 SDGsに向けた取り組みとしては、具体的にどのような活動をされていますか?

森山 例えば、太陽生命の「認知症予防保険」では認知症診断時だけでなく、加入1年後から定期的に予防給付金をお支払いしています。認知症になったときの保障だけではなく、予防という観点から、お客様の健康寿命の延伸サポートにも取り組んでいます。

平原 以前、認知症患者のご家族にインタビューを行ったのですが、介護と自身の生活の両立に悩む人も多く、認知症は介護を行う家族のケアも重要だと実感しました。だからこそ、本人や家族の安心、挑戦にもつながる商品の存在はありがたいですね。

対談中の平原氏の写真

森山 大同生命では中小企業の健康経営(※)を支援する「KENCO SUPPORT PROGRAM」を展開しており、同プログラムと連動して運動量に応じて保険料の割引を行う「会社みんなでKENCO+」という商品も提供しています。そのなかで歩数に応じた寄付を行うウォーキングキャンペーンを実施しており、2022年には約57万食分の学校給食費用をアジアやアフリカの子どもたちに寄付しました。
※健康経営はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。

平原 貧困地域では、子どもたちも生きていくために働かなくてはなりません。しかし、読み書きができなければ貧困から抜け出すこともできない。学校給食の援助は、過酷な環境で生きる子どもたちに教育機会を与える、大切な支援だと思います。

森山 また、地球環境の保護も重要な課題です。T&D保険グループでは「非財務KPI」のひとつにCO₂排出量の削減を設定し、2025年度までの40%削減を目標に、オフィスでの節電や再生可能エネルギーの導入を推進しています。さらに太陽生命では栃木県那須塩原市と滋賀県高島市に「太陽生命の森林(もり)」を設置し、森林保全活動を通じた環境保護にも取り組んでいます。また、保険会社には機関投資家としての立場もあります。環境課題解決に取り組む企業等へ投資するESG投資を通じて、持続可能な社会の実現を目指しています。

対談中の森山氏の写真

価値創造、若い世代とともに

平原 若い世代が未来を担っていくためには、「生きる力」も必要だと考えます。具体的にはお金との向き合い方。海外では家族でお金の話をしたり、学生がライフプランを立てたりするのは当たり前となっています。一方、日本の金融教育はまだ始まったばかり。お金と自分との関係が分かれば、社会に対する見方や考え方も変わってくるはずです。

森山 そうですね。保険もお金との向き合い方の一つですから、金融教育の普及によって、今後ますます多くの人に保険の社会的意義を知ってもらえるのではないかと期待しています。

平原 若者には国や企業に関係なく、地球というひとつの家を守って前進させていく原動力になってほしい。HIは「世界中の境界線を溶かす」をパーパスとしています。ビジネスと社会課題の解決を両立している世界の起業家と日本の学生をつなぐ私たちの事業にはその願いが込められています。

  • 2022年7月開催 MeetUPイベントの様子を撮影した写真
  • 2022年7月開催 MeetUPイベントの様子を撮影した写真
  • 2023年1月開催 コンテスト最終審査会の様子
  • 2023年1月開催 コンテスト最終審査会の様子
T&D保険グループは社会課題を解決するアイデアやビジネスモデルを募集する日経ソーシャルビジネスコンテストの協賛を続けている。
(写真左)2022年7月開催 MeetUPイベントの様子/(写真右)2023年1月開催 コンテスト最終審査会の様子

森山 若者の力には大きな期待を寄せています。ソーシャルビジネスは一見新しい概念のように見えますが、若い世代はごく自然に捉えている。早くから環境、人権問題に触れてきた彼らにはSDGsの考え方が深く根付いており、危機感や課題意識を持つことが当然なのでしょう。

平原 SNSで世界とつながる若者にとって、社会課題は遠い出来事ではなく身近な話。イベントに参加する若者も、自己紹介では自分の生い立ちや職歴より先に、社会における自らの使命を語ります。その姿勢には学ぶことも多いですし、私たち大人には何ができるのかをよく考えさせられます。社会を良くする柔軟な発想を、親に教えたり、起業したり、どんどん若い世代から発信してもらいたいです。

森山 私たちの世代は、社会課題に対する責任がある。だからこそ、企業として解決を目指すのはもちろん、若者とともに歩んでいきたいとも考えています。日経ソーシャルビジネスコンテストもそのひとつ。次世代のリーダーを応援したいという思いで協賛をスタートしましたが、受賞者の熱意や発想に刺激を受けることも少なくありません。若者から学んだ価値観をもとに、これからもよりよい未来をつくっていきたいと思います。

並んで立ち、笑みを浮かべる森山氏と平原氏の写真

※2023年2月28日~2023年5月31日に日経電子版広告特集にて掲載。掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。